2019年に書いてたcsunの日記、その3

前書き

2019年3月に、CSUNというアメリカのカンファレンスを見に行っていました。そのときにどうやら日記を書いていたらしいです。ぜんぜん覚えていなかったんだけど、今発掘しました。この日記、途中で切れているのですが、なんか面白いので、途中まで公開しようと思います。暇つぶしに読んでね。

なお、漢字が間違ってるかもしれないし、言ってることが間違ってるかもしれません。そういうのは全部ご愛敬ってことでよろしくお願いします。

1日目

3月12日になった。夜の9時に寝て、そのまま7時までゴロゴロしていたんだから、時差なんていちころである。すがすがしい気分で、昨日買ってきたサンドイッチを開ける。まぁ…日本のコンビニサンドイッチのクオリティは、ほかのどの国も勝てないと思うので、それはいいでしょう。なんにでも不平不満ばかり言うのは良くない。仮に心の中でそう思ってしまうことがあったとしても、比較対象の逆のほうを持ち上げるようにすれば、世の中はもっと幸せになるはずである。つまり、日本のサンドイッチは素晴らしいということだ!!ついでに、カットフルーツも食べた。日本のスーパーでキムチとかがはいっていそうな、すこし大きめのカップにいっぱい入っているので、コストパフォーマンスが非常に高い。$3.69だったので、400円ぐらい。

今日の予定は、CSUNの会場に行って入場者バッジをもらってくることと、keynote speech(基調講演)を聞きに行くことと、夜にみんなでご飯を食べるということしか決まっていない。さて、どうするか。とはいえ、目的は1個ずつ達成しようということで、10時頃ホテルを出発して、バッジをもらってきた。CSUNの会場である Mariott もホテルであり、その1階部分を使ってカンファレンスが開かれる。Mariott の場所は、我々が宿泊しているホテルの真ん前である。ということで、所要時間10分ぐらいで終わりそうだ。

バッジをもらいに行く道すがら、参加していたもう一人の学生さんと話をしていた。どうやら、ちょっと英語に不安があるらしい。逆に私は移動に不安があるということで、英語を何とかする代わりに移動をなんとかしてもらうという同盟を結んだ。これでもう大丈夫である。

さて、バッジと、なんかいろんな冊子が入った布の袋を手に入れた。でも、セッションや展示が始まるのは明日からである。本当は、11日と12日はワークショップが行われているのだが、追加料金で、しかも1日参加するだけで$200以上するのでやめていた。せっかくだから(というか、なにも計画してなかったから)、明日からどんなふうに回るか、作戦会議をすることにした。

愛用のレッツノートを開いて、セッションの一覧から気になるものを見つけていく。そういえば、なんか展示でプリントされた地図みたいなものがありますけどいりますか?ってオンライン登録のときに聞かれて、イエスマンなのでyesと言っておいたんだけど、それはどこにあるんだろう。袋の中をがさごそやってみても、なんか薄っぺらい紙とかファイルとかしかなくて、展示が書いてありそうなものがない。カウンターに戻って聞いてみた。そしたら、「データがUSBに入っている」とカウンターのお兄ちゃん。読むソフトが入ってなかったら読めないので、「そのフォーマットはなにか」と聞いてみたのだが、「普通のUSBだ、あんたのPCに指せばええんや、だからフォーマットなんて関係ねえ」と連発してくる。いや、それは知ってるから。てかふつうにそんなのわかるやろ。データ形式のことを言ってるの。…といろいろ言い合っていたら、実は袋の中にプリントされたバージョンも入ってた。紙が薄すぎて、こんなのに点字が書いてあるなんて想像してなくて、中身まで開いて確認してなかったよ。ごめんちゃい。きまずいから、ずらかろう。

とかなんとかやっていたら、昼食の時間になった。とりあえず近くにコンビニ(セブン・イレブン)があるので、そこでなにか買って食べるかという話で落ち着いた。でも、日本が誇る大発明であるおにぎりなんてものが置いてあるわけもなく、やっぱりサンドイッチぐらいしかなかった。ということで、またサンドイッチである。サンドイッチを食べながら作戦会議を続行しようと思ったのだが、ここで急に恐ろしい睡魔が来てしまった。しかも、サンドイッチを食べた瞬間に、日本のサンドイッチへの評価がさらにましましになってしまい、意識が飛びかけた。さっき同盟を結んだバディのためにセッションの一覧を訳していたのだが、なんかもう英語がよく分からなくなってしまった、というか、日本語もよく分からなくなってしまった。これではまずいので、部屋に帰って昼寝した。ちなみに、その時点で2日目までの「気になる場所リスト」はできていたので、特に昼寝しても問題なかった。よく考えたら、最後に食べたまとまった食事って、機内食の鮭ご飯じゃん。たぶん、時差ぼけもあったし栄養失調も入ってた。

1.5時間ほど昼寝して、基調講演の時間になった。CSUNでは、毎年「アシスティブ・テクノロジー界で活躍した人 of the year」を選出し、その人に基調講演をしてもらうらしい。今回は、生まれつき耳がまったく聞こえないNASAのエンジニアである Johanna Lucht 氏が登壇された。話の内容としては、アシスティブ・テクノロジー(支援技術)への認識を再び問うような、比較的敷居の低い、でも深い内容だった。

Johanna 氏は、耳がまったく聞こえない状態で生まれた。小学校低学年までは、言葉というものをもっていなかったらしい。小学校でアメリカ式手話(ASL)に出会い、自分で表現することができる喜びを知ったことで、猛勉強したとのこと。大学進学後、NASAのインターンシップを経て、正式にエンジニアとして就職が決まった…とそのへんはさらーっと語られていたのだが、やばい経歴である。彼女の現在の仕事は、コントロール・ルームからのオペレーションらしいが、インターネットとコミュニケーションの支援技術を使って、まったく問題なく仕事ができているみたいである。

アシスティブ・テクノロジーとはなんだろうか。障害者を助けて上げるなにか?高くてごっついハイパーなマシンだったりするのだろうか?いや、そんなことはない。アシスティブ・テクノロジーを「障害支援のためのテクノロジー」だと定義づけることは、「自分はアシスティブ・テクノロジーなんて必要としてないぜ」という視点からのバイアスを含んでいる。彼女の話した内容を、私の独断と偏見で再解釈するならば、アシスティブ・テクノロジーとは、もっと広い意味で使われるべき言葉であり、導入の敷居をもっと下げて、ある意味気楽に考えていいのではないか?ということだ。だって、どんな人であっても、アシスティブ・テクノロジーには毎日お世話になっているでしょう?早く目的地に行きたいから車っていうものを作った。空を飛びたいって思ったから飛行機を作った(これは実際に例示で出ていた)。眼が見えやすいようにめがねを作った、重いものを運びたいから台車を作った、生身ではできないような計算/記憶をしたいと思ったからコンピュータを作った、その中にたまたま「眼が見えない人のために○○、耳が聞こえない人のために○○、心にこういう特徴がある人のために○○」とかとかとかとか、そういうものが入ってるだけなのである。

上記したものが全部同率で語れる(現状からすれば語られるべきである)ということは、これらは全部、使えるものは何でも使えばよくて、なにをどうやって組み合わせてもよくて、なにがどんなことに使えるかはまったく未知だということだ。実際、彼女の職場では、20年前に実験的に開発していて、その後お蔵入りになっていたシステムを復活させることによって、仕事のクオリティーアップに大きく貢献したらしい。ということで、研究には可能性があるぞという話もあった。

アシスティブ・テクノロジーといって、障害者のためにかかる余分なコストであるとか、すごい巨額の投資が必要だというのは、必ずしも全ての状況に当てはまるわけではない。当事者の立場から見返せば、自分にはどんなところをアシストしてもらう必要があるのか、どうすれば実現可能か、実現されたとしたらどんな強みを発揮できるのか、主張することができるし、その権利もある。この歩み寄りをどれだけ進められるかが、我々の就労環境改善のためのキーとなるのではないか…というのが、今回の基調講演の要点だったように思う。なお、さっきも言ったように、まぁ半分ぐらいは私の独断と偏見入ってるので、そのへんはご愛敬。

基調講演終了後は、食べ物をみんなで囲んでわいわいだべる回になった。このタイミングで、日本から来ているアクセシビリティ関連の人たちに会った。なんか、今まではそこまでちゃんとした食べ物は出ていなかったらしいんだけど、今回は結構すごかった。ローストビーフみたいなのもあったし、焼いた野菜みたいなのもあったし、たぶん私が知らないだけで他にも色々会ったに違いない。元々我々は、この後に夕食の店を予約していてそっちで食べる予定になっていたので、あんまり調子に乗って食べ過ぎてもまずいということで、比較的早めに抜けて、予約していたお店に向かった。

ちょっと名前は忘れちゃったのだが、まぁ、結構いいお店だった。まぁ、物価の違いがあるので一概に比べるのはちょっとあれなのだが、だいたいステーキが$35ぐらいしてた。私は、6オンスのステーキ($30)を注文した。野菜ほしいかとかポテト(マッシュポテト)ほしいかとかいろいろ聞かれたけど、他にもなんかテーブル単位で頼んでいたし、きっとドーンって感じだろうから、全部断っておいた。ちなみに、6オンスはだいたい180グラムぐらいだけど、13オンスってのもあったし、別のステーキハウスでは16オンスってのもあった。やべえ。ドーン。

まぁまぁ美味しかったけど、ちょっと焼き方の選択を間違えたので、もうちょっとレアにしてもらえばよかった。そして、よりによって、これだけでけっこう来てしまったので、テーブルで頼んでいたものはけっこう余ってしまったらしい。ついでに、勝手にチップを20%(最大)で付けられてしまって、全員の会計分を合計した20%なので、チップだけでまあすごい金額になってしまった。

ご飯を食べた後は、いつものドラッグストアで朝食を調達して帰った。サンドイッチはもうけっこうお腹いっぱいだったので、カットフルーツとヨーグルトという、なんかすごいほっそーい感じの朝ご飯になってしまったが、まぁそれが自分の選択なので仕方がない。ということで、3月12日は、途中でダウンしたりしたけど、平和に終わった。

警告

明日の分までしかないです。なんでかは聞かないで。俺も聞きたいから。